tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

マイナス金利の功罪:3 「経済→金融」から「金融→経済」へ

2016年02月21日 10時13分32秒 | 経済
マイナス金利の功罪:3 「経済→金融」から「金融→経済」へ
 もともと金融というのは。実体経済の活動をよりスムーズにより効率的にするために活動してきたのでしょう。
 例えば「使われていないお金」を銀行に預ければ、銀行はそのお金を「金はないけれど仕事がある人」に貸し付けて「生かして使う」ようにするといった具合です。

 仕事のある人は借りたお金で仕事をして利益を上げ、その中から金利を銀行に払い、銀行はその一部を預金金利として預金者に支払う。
 金融は「経済活動の血液」とか「経済活動の潤滑油」とか言われるゆえんです。

 これは「経済→金融」という段階です。経済が順調に活動できるように金融がフォローするという段階です。
 これを逆手にとって、「お金を増やせば経済活動が活発になる」と考えるのが金融政策で「金融→経済」の段階です。

 油の切れた機械にちょっと注油すれば、たちまち機械は動きだします。「動いたぞ!」と各部分にさらに注油すると機械は完全に順調な動きを取り戻すでしょう。
 しかしそれ以上注油しても、それ以上の効果はありません。

 ビジネスチャンスがいっぱいあるのに、資金がなくて、という状態の時、金融緩和、つまり貨幣の供給量を増やせば、経済は活発に動き出します。生産が増え、GDP(付加価値)も増え(経済成長)利益も上がり好況になります。

 これは貨幣の量の調節ですが、金利(質)の調節でも効果は期待できます。あまり儲かりそうにない仕事だが、安い金利で金を借りられれば儲かる、という場合には、金利を下げれば経済活動は活発になります。お金が余れば金利が下がるという相乗効果もあります。

 しかし、ビジネスチャンスがないところに、いくら金融緩和をやっても経済は活発になりません。機械が100パーセント順調に動いているところにさらに注油したり、質の良い油をやっても、110パーセント、120パーセント動くことはありません。
 これが「流動性の罠」などと言われた状態です。本来の金融政策の限界です。

 ところが今日のような「貨幣の価値が金融市場で決まる」という通貨のフロート制(変動相場制)の時代には、状況がいささか変わります。

 具体的な例をあげましょう。2012年まで、日本経済は失われた20年と言われた低迷状態でした。円高ですから、輸出しても儲かりません。円高の日本には観光客も来ませんから、鉄道もホテル・旅館もタクシーもお客は増えません。

 日本政府は、赤字を積み上げながら財政支出で後押しし、金融緩和で倒産を防ぎ、市中のお金をジャブジャブにしても、不況は続き、まさに「流動性の罠」が論議される状態でした。
 ところが、日銀が金融の「異次元緩和」をやった途端、日本経済は息を吹き返しました。いわゆる二発の黒田バズーカ(国債などを日銀が購入して通貨供給を増やす)で日本経済は息を吹き返しました。

 なんだ、金政政策というのはこんなに効くのか、と日本中が驚き、安倍政権は、三本の矢の1本目の効果は絶大でアベノミクスの大成功と自画自賛しました。
 
 これは現実に起こったことですが、本当に「金融の緩和」がそれほど絶大な効果を持ったのでしょうか。次回、そのあたりの真実を見てみましょう。

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